私が初めてバイクを意識したのは、確か小学校の低学年の頃に観た映画「大脱走」で、ドイツ軍の捕虜となった主人公が、ドイツ兵から奪ったバイクで草原地帯を駆け回り、鉄条網の柵を飛び越えて行くシーンを観てからだ。当時は名前も判らず調べようも無かったが、そのフォルムは私の脳裏にくっきりと焼き付いてしまった。高校生になり、人づてに「あれはトライアンフというイギリスのバイクだ」と知った時は、映画の影響で、すっかりドイツのバイクだと思い込んでいた私は、肩透かしを食った気がした。しかし身元が判明したので、探る手掛かりは出来た。さっそく近所のバイク屋の親父さんに、カタログか何か手に入らないか?と相談してみたが「うちではそんな外車は取り扱いが無い」と言われがっかりしたのだが、1か月ほどすると、その親父さんがA4サイズのビラカタログをくれた。でもそれは、私のイメージしていたトライアンフとは違った車種だったので、有難く思えず、直ぐに失ってしまった。今から思えば、いろんな所へ手を回しなんとか手に入れてくれたのだろうな。もうずっと前に亡くなってしまった親父さんに今更ながら「ありがとう」と言おう。